スケジュールナースユーザのお医者さまに過酷な勤務実態に纏わる寄稿をお願いしました



勤務表作成と格闘

私はキャリア二十○年の医師です。
医師免許を取得してからずっと勤務医として働いてきました。
年月を重ね、若手から中堅になり、徐々に診療以外の業務に時間を割かねばならなくなり、あるときから勤務表作成を担うようになりました。
以後、毎月数時間以上をかけ(しかも勤務時間外に)、勤務表作成と格闘してきました。



勤務医の勤務表とはどのようなものか

勤務表を理解するのに必要なのが、当直という業務を知ることです。
ここで言及する当直とは、夜勤ではありません。夜勤は法定労働時間に含まれますが、当直とは通常業務を行わない緊急時に備えた要員であり、法定労働時間に含まれません。このため、通常勤務(日勤)した日の夜に当直をし、翌日再び通常勤務(日勤)を行うことが認められるのです。また、施設や診療科によっては、当直医1人では対応できない緊急事態に備え、オンコール番(自宅待機)が必要になります。こういった、当直やオンコール番を決めるのが、勤務表作成です。
当直中の業務内容は、施設や診療科によってかなり異なりますが、多くの医師にとって負担になります。緊急が続いて眠れない夜もありますし、平和な夜だとしても、いつ鳴るかわからない呼び出しを気にしながら、当直室のベッドで安眠できる人は多くないでしょう。そして、当直の夜が明けて朝になっても、まだ帰宅することはできず、一日の通常勤務が待っているのです。



当直制約の例

このような当直の負担を考慮すると、おのずと勤務表作成にあたって暗黙のルールが存在するようになります。
例を挙げますと

・当直明けは早めに帰宅できるよう、午後に外来などの業務がある日の前日は当直を入れない
・当直と当直の間は数日あける
・当直の翌日は自宅オンコールにしない などなど

これらのルールを守りつつ、私用や学会出張などによる当直不都合日を考慮し、かつ当直回数が偏らないようにします。更に、せめて月1回は週末の連休がほしいなどの希望や、若手医師が当直の場合は自宅オンコール番を上級医にするなどの工夫が必要になることもあります。 配慮すべきことが増えるほど、勤務表作成は難解なパズルのようで、時には、全ての要望や制約を満たす勤務表は存在しないのではないかと感じることもありました。
勤務表に対する希望が多くなればなるほど私が頭を悩ませることを理解してくれる同僚たちは、できるだけ勤務表が決まってから私用をいれるようにして、当直不都合日を減らすよう気を遣ってくれていました。そんな心遣いがわかるからこそ、みんなの希望を組み込んだ、働きやすい勤務表を作りたいと思う。だから時間がかかる。。。 そんな奮闘を繰り返していた長い年月の後に、私は幸運にもスケジュールナースに出会うことができました。



スケジュールナースの活用

スケジュールナースを相棒にすることで、勤務表作成にかかる時間が随分短縮されました。そして、それぞれの当直不都合日が重なり、勤務表作成に取りかかる前から頭が痛いような月であっても、スケジュールナースが何とかしてくれると思えることで、精神的な負担が軽くなりました。まだスケジュールナースを使いこなせていない部分や、現在の人員数ではどうにもならないこともありますが、スケジュールナースが心強い存在であることに間違いありません。この非常に高性能で便利なソフトに出会い、取り入れることができたご縁に、心から感謝しています。

現在、医師の働き方が見直されており、2024年4月には、医師の働き方に関する新制度がスタートします。これは、医師の長時間労働を改善し、医療の質・安全を確保すると同時に、持続可能な医療提供を維持していくことが目的とされ、具体的には、時間外労働の上限が規制され、休息時間の確保が義務づけられることになります。私たち医師の健康を守るための制度とはいえ、勤務表作成上の制約が増えることは間違いなく、多くの現場がとまどっていると思いますし、私自身もその一人です。
現在、私の職場では新たな勤務体制を検討しており、勤務表作成にあたって新たな制約が生じることになります。よりよい働き方を目指した制度とは言え、現在の人員で制約を満たす勤務表が作成できるのか、正直不安があります。理想的な働き方があっても、そこにはどうやったらたどり着けるのか、明確な道筋が見えているとは言えません。しかし、労働者としての権利、個人の多様なニーズを大切にしつつ、お互いに働きやすいと感じられる勤務体制にしていくためには、まず一歩踏み出すことが大切なのだと思っています。その一歩一歩を、スケジュールナースが支えてくれると確信しています。

今、この瞬間も、どこかで誰かが勤務表作成に頭を悩ませているのでしょう。一人でも多くの勤務表作成者が、スケジュールナースに出会えることを願っています。