人間と機械が作成した勤務表解とでは、どちらが、どれだけ優れているでしょうか?
この疑問に対する答えは、既に池上先生の論文で明らかにされています。
成蹊大学の池上先生が2005年に行った実験があります。
病棟主任が作成した勤務表では、シフトにおける合計 39 のシフト拘束条件(行制約)と 71 のナース拘束条件(列制約)を満たさなかったとのことです。
池上先生の問題は、Ikegami-3shift-DATA1 として公開されており、当時のコンピュータで、100時間走らせ6個満足できない箇所があったということです。
この当時は、未だ、厳密解が知られていなかったのですが、現在、スケジュールナースは、この問題を、厳密解算出まで、数秒で解けます。
この結果からしても、「人間とは比べるべくもない」と言えるのですが、それはあくまで、最強性能 のエンジンの話です。
(実は、人間以下の能力しかないソフトが、今現在も、大きなシェアを占めており、日本全体で見て、大きな損失を生み続けていると思います。)
勤務表作成名人 vs 最強エンジン
そこで、今回、新たに、勤務表作成名人に作成してもらいました。具体的には、介護勤務表プロジェクト
の制約をそのまま維持したまま、紙と鉛筆で解いてもらいました。
制限時間は、8時間です。
「あのスタッフに何か言われる!」といった危機感によるモチベーションがないまま、解いてもらいましたが、それでも「本気」で取り組んでもらいました。
その結果、
項 | 勤務表作成名人 | スケジュールナース |
---|---|---|
ハード制約違反数 | 65 | 0 |
ソフト制約違反数 | 31 | 2 |
求解時間 | 8時間 | 30秒 |
という結果となりました。池上先生の結果と似たようなオーダの差となりました。
注目すべきは、求解時間もさることながら、精度 と 品質 に大きな差があることです。
このことにフォーカスしないまま、求解時間を議論しても意味がありません。厳密解、もしくは、厳密解近くまで出せるソルバでは、人間のそれとは、大きく異なるのです。