2.4.2 2交代 診療所 設計

外来と病棟とありますが、とりあえず、病棟と看護助手のみの設計です。

1 制約仕様

日勤は病棟看護師平日4-5名、休日3名。日勤者のカウントは、看護師長を含めず、病棟看護師のみで、残と日の合計。夜勤は病棟看護師1名、看護助手か外来看護師1名の計2名。
看護助手の日勤は早番1名、、中番1名、遅番1名。早番、遅番は必須。中番はなくてもよい。日・祝日は中番なし。
看護助手の連続勤務は5日まで。月の休みは一人7〜8日
看護助手は非常勤で15日締め。日・祝は時給が高くなるので均等に入れる
外来看護師は看護助手が入れないところに入る。土・日・祝の夜勤入りは最小限(木・金が望ましい)
外来看護師はスタッフから夜勤に入る。主任は最後に。
日勤の連続は4日まで

各スタッフの属性

スタッフ名 コメント 役職 スキル 負荷 日勤リーダー 休み数 夜勤数
1 師長 夜勤無し 夜勤回数:夜勤なし 師長 無し
2 病棟主任 日勤リーダー 4回以内
3 夜勤は土のみ 夜勤は土(入り)のみ 病棟スタッフ 日勤リーダー 2回以内
4 病棟スタッフ 日勤リーダー 3回以内
5 病棟スタッフ 日勤リーダー 4回以内
6 病棟スタッフ 日勤リーダー 4回以内
7 病棟スタッフ 日勤リーダー 4回以内
8 夜勤明けが木・土・日・祝日 明けが木土日祝 病棟スタッフ 日勤リーダー 4回以内
9 夜勤入りが木〜土 入りが木金土 病棟スタッフ 日勤リーダー 4回以内
10 病棟スタッフ 日勤リーダー 4回以内
11 夜勤入りが土・日・祝。看護助手の「洋」か外来看護師とのみ。 入りが土日祝、山とペア入り、山とペア明け 病棟スタッフ 夜間学生 3回以内
12 夜勤は15日までが2回、月末までが1回 2回-15、1回-月末
看護助手
13 夜勤は15日までが2回、月末までが3回 2回-15、3回月末 看護助手
14 遅番の翌日の早番はダメ。夜勤は15日までが2回、月末までが3回 2回-15、3回月末 看護助手
15 夜勤は15日までが3回、月末までが3回 看護助手
16 夜勤は15日までが2回、月末までが3回 看護助手
17 外来主任 1回
18 外来主任 1回
19 外来スタッフ 1回
20 外来スタッフ 1回
21 外来スタッフ 1回
22 外来スタッフ 1回
23 外来スタッフ 1回
24 外来スタッフ 1回
25 外来スタッフ 1回

*茶色部11月修正

2 月毎の設定

2.1 祝日でないが、祝日に設定する(年末年始の特別な場合)

12月29日は、祝日ではありませんが、祝日として設定します。
設定曜日定義
で12月29日をクリックして、設定ボタンを押します。




2.2 今月の公休数の設定

12月は、公休数を11に設定します。
設定マクロ定義を開いて、今月の公休数のところを11に設定し、設定ボタンを押します。


2.3 予定入力


予定を入力します。
休は、看護助手専用のラベルです。 看護補助者以外の公休(週または、代)でない休みは、有で入力してください。


2.4 予定入力のソフト制約化

ソフト制約を使いこなす 勤務希望に優先度をつける(p18)でも述べている通り、勤務希望に優先度を持たせます。

今回は、簡単に、今月の全ての希望を最高優先度に設定する方法をやってみます。


今月部を全てソフト制約にしてみます。
下のように今月1日、看護師長のところにマウスを置いて、右斜め下方向にドラッグします。


そのままドラッグ(引っ張り)中の様子です。

今月部を選択できました。


右クリックして選択部をソフト制約にする をクリックします。

とりあえず、最高レベルの7に設定します。


レベル7に設定された部分がエンジの淵になります。


求解のページで、予定入力 制約:7の適用をチェックします。
求解ボタンを押します。

解が出るので、右クリックで、予定入力と比較をクリックします。

予定入力と解との差異部分に赤枠がつきます。美の一箇所だけ赤がついているのが分かります。
これは、予定入力の変更なしには、解がなかったことを表しています。


2.5 複数解で、差異箇所を確認


求解数を下のように6に設定して求解してみます。



すると、次のようなメッセージがでます。これは、6個の求解をしたけれども、差異の場所が異なる解の5番目は見つからなかった、ということで気にする必要がありません。OKを押します。

差異の場所を確認してみましょう。解1と解2は同じですが、その他は、別な場所になります。

下は解3を表示しています。


下は解4を表示しています。


その他の別な差異の箇所は物理的に存在しません。これが、差異数最小下での、ありえる解の全てになります。
PCは、全てのありえる選択肢を示してくれています。これが、調整の選択肢になります。(どれを選んでも、全てのハード制約を守ることを条件にしたベストな解になります。)

今回の場合、問題は”美”にあると言ってよいでしょう。つまり、

どうしても調整したくない場合は、ハード制約を満たさないので、そのハード制約を緩和してやることが必要になります。上で言っていることは、「全てのハード制約を満たしたいなら、美の予定を変更するしかない」、
ということです。上の検討でも、下のSectionの検討でも、美だけが問題であることは明らかなので、美の予定を調整することは、何も問題ないと思います。(ある意味、美の我侭を認めない) しかし、どうしてもスタッフの希望は叶えたいと立場で、予定を変更しないのならば、ハード制約をソフト化するしか手段はありません。

この方法は、お勧めしませんが、一応やり方を示しておきます。
本来ハード制約は、必ず守るべきもの、という性格ですから、それを緩めるというのは、本来の仕様よりも、勤務希望の方を優先するということになります。
スタッフの希望最優先の真面目な看護師長さんによく見受けられるのですが、本末転倒の場合が多いので注意してください。

2.5 満たしていないハード制約の解析

今月部をハード制約に戻します。

下のように、ソルバ設定 非充足箇所の表示にチェックして求解します。


そうすると、予定入力のハード制約を肯定したときの、満たしていないハード制約の可能性がある部分を赤で表示します。
何れも、美であることが分かります。これから、休み数、または、6連続出勤禁止というハード制約が可能性としてあることを示しています。



そこで、休み数の制約を次のようにソフト制約にしてみます。ソフトレベル4に設定してみました。


新たに追加した行制約:4の適用にチェックして求解します。



そうすると、解があり、予定入力との比較を行っても差異はありませんでした。
休み数を見ると美の休みだけが、9になっており、ハード制約7-8を逸脱していることが分かります。


しつこいですが、このように、スタッフの希望が全ての仕様に優先することを進めていくと、どんどんハード制約が崩れていき、本来何を優先するべきか分からなくなりがちです。注意してください。


2.6 人的リソースに関する考察

上図で、日勤者4-5名という制約に注目してください。ハード制約で4-5と制約していますが、何と、全平日が4になってしまっていて余裕度が0であることが分かります。(平日で5人がアサインされた日が1日だけあった場合が、余裕1コマになります。)12月の場合、公休数が11もあり、休みが多いことから、3人で済む日がそれだけ多いのですが、これは、2017年12月という特殊月であることから、たまたまギリギリで済んだとみるべきでしょう。この月は、有休数が病棟スタッフ内で5ありますが、例えば、同じ有休数を1月で取られてしまうと、物理的に解がないということが容易に想像できます。人的リソースは、スタッフQOLの観点からも、適切な遊びが必要です。

2.7 看護師長がつくった勤務表とソフトが作った勤務表のとの差

上記のとおり、ハード制約を緩和することなしには、全てのスタッフの予定をそのまま満たすことはできない、というのがソフトの結論になりますが、では、看護師長がそれを作ったとすれば、どこが原因でしょうか?


そこで、看護師長が作った勤務表を頂き、2.5でやったようにして、満たしていない可能性のある制約を列挙させてみます。入力が埋まっているので、可能性ではなく、事実になっています。

下が看護師長が作った勤務表をPCに入力させたものです。確かにスタッフの休み・勤務希望は全て叶えられています。予定変更はされていません。



これに対して、非充足部の表示をチェックして求解すると次のように多くのハード制約を満たしていません。


・残り番1名は、単なる誤記だと思うので無視してください。
・入り**入り禁止は、お客さまから頂いた制約ではないのですが、一般的な夜勤集中を防ぐ制約になります。例えば、原の12/20-12/23の夜勤を指摘しています。
・入り***り禁止は、お客さまから頂いた制約ではないのですが、一般的な夜勤集中を防ぐ制約になります。こちらは、ソフト制約にしてもよいかもしれません。
・美の休み数については、さすがに、機械と人で一致しています。
・遅番ー早番は、特定の人だけという要請でしたが、一般的な制約ですので、全員に適用しています。木の12/5が、遅早になっています。
・その他は、お伺いしていた制約になります。



機械の方は、美の休み数だけ満たすことができませんでした。が、これは、その制約下での物理最適解によるものであってソフトの能力の範囲外の話しになります。
その他のハード制約については、問題なく満たしています。今回はハード制約についてのみ注目しましたがソフト制約にについてもそれ相応の差がついていると思われます。

さて、この入力に対して、全てのハード制約を満たして、しかもその修正が最小をにするにはどうしたらよいでしょうか?そうです、2.4予定入力のソフト化でやった修正を行えば良い訳です。
その結果が、下で、赤枠が、予定入力との差異になります。



看護師長の名誉のために、敢て言いますが、人間がここまで作るのは、、並大抵の能力と努力では、出来ないと思います。恐らく、十数時間かかったことでしょう。(機械はこの例の場合十数秒です。)
看護師長さんは、スタッフの希望を全て満足させるべく努力したのでしょう。頭の下がる思いです。しかも、その予定を変更しないという条件で、美の休み数を9にすることを導いており素晴らしいです。さらに、余裕0の中で、これだけ満たせるのは、ただ者ではありません。

<全ての制約を漏れなく満たすことは難しい、ナーススケジューリング問題>
ところで、機械作成の方は、1箇所のみの希望修正で済みますが、人間が作成した方は、当初のハード制約を満足させるために、数十箇所の修正が必要となることが分かります。
人間と機械とで、どうしてこのような差がついてしまったのでしょうか?実は、この差は、ソフトを使う前の看護師長では、必ずといっていいほどよく見かける現象(ナーススケジューリング問題)です。
同じ制約下なら、人間と機械でパズルの競争をしたら人間に勝ち目はありません。往々にしてあるのは、スタッフの予定勤務を通すがために、元々のハード制約を忘れてしまうことです。また忘れないまでも、その場限りのルール変更を行ってしのいでしまいます。頭の中でやっていたことが、機械では、見逃してくれません。融通が効かないと言ってもよいと思います。そこで、思い出して欲しいのが、最初に作ったルール(制約)です。そのルールをハード制約として貫くべきか、ソフト制約に変更するか、場当たり的な判断ではなく、ルールとして貫くことが機械による勤務表作りでは必要となります。実際の場面に出くわさないと中々考えを巡らすことはないので、出くわしたら検討した上で決定してください。このパラダイムシフトには、慣れが必要です。ルールを白日のもとにさらし、ブレないルールで運用を積み重ねていくことは、組織管理上から言っても必要なことではないでしょうか?

<美の我侭を見破る -機械の結果を読み取る>
今回、機械の検討では、美だけが問題であることが分かりました。美の休み希望を満たすためだけに、看護助手全体の休み制約を変えること、言ってみれば美の我侭を満たすがために組織全体のルールを破るということですから、美の予定を調整することは何の問題もない筈です。ところが、看護師長が作った勤務表では、十数時間かけて作った、たった一つの解であり、他の制約も少なからず破っていますからそのことは、判りようがありません。試行錯誤した結果、仕方なく休みのハード制約を破るしかなかったのだと思います。予定を変えない条件では、機械も同じことです。しかしながら、機械の方は、他の制約は全て満足するので休み数制約を破る必要はなく、美の予定を変更すれば済む話しなのです。機械+機械の解を読み取る深い考察力が必要なことが分かります。

もっと、簡単に作るには
恐らく、全てのスタッフの予定を満たすというルール(つまり、全ての予定入力をハード制約にする)よりも、優先度を持たせたソフト制約による予定入力とすれば、美の優先度の低い予定が自動的に変更されて、機械結果の上のような深い考察もすることなく全てを満足した結果が得られたことでしょう。職場のルール変更が必要ですが、今回例からも、その有効性を理解して頂けると思います。

脳内制約
また、実は看護師長の頭のなかには、制約化されていない制約(暗黙制約・脳内制約)があり、それを優先させただけかもしれません。
その場合は、最初に戻って、制約のルール化、あるいは思いの書き込みということが、機械を使う上での必要な作業になります。何ヶ月かかけて、少しづつルールを強固なものにしていく(ブラシュアップ)ことが必要となるでしょう。


要するに、
パズルを解くのは、機械に任せて、パズルのルールを機械に教えることや、結果に対して、出てきた複数の結果に対してトレードオフを判断していく、あるいは、解の有無を見ながら、思いを予定として書き込んでいく
、それがこれからの勤務表作成スタイルである、と言えます。

2.8 結局 何をハード制約として、何をソフト制約とするか

スタッフのQOLであったり看護の品質であったり、職場の達成目標であったり、それは、その職場に依存しますので、お客様ご自身でお考え頂きたいと思います。
勿論、ご相談に応じますので、プロジェクトファイルとやりたいことを添えてサポートまで送ってください。